【初めて外国人を雇用する方に】N1N2って何?会社に必要な日本語レベルの見極め方

外国人を採用する場合、日本語の習熟度を気にされる方は多いかと思います。
今回は、日本で働く外国人と接してきた筆者の知識や経験をもとに、

①外国人の日本語レベルを判別する基準
②どのようなレベルの方が、どのような会社様とマッチングするか

について、お話していきたいと思います。

①外国人の日本語レベルを判別する基準

日本で就業を検討するほぼ全ての外国人は、日本語能力試験(JLPT)を受験しています。
日本語能力試験は、いわゆる英検などと同様に、いくつかの段階に分けて外国人の日本語習熟度を組分けしており、N1(レベル高)-N5(レベル低)まであります。

N1-N5までのレベル表

公式が発表しているN1-N5までのレベルは、下記の通りです。

N5:基本的な日本語をある程度理解することができる
読み:ひらがなやカタカナ、日常生活で用いられる基本的な漢字で書かれた定型的な語句や文、文章を読んで理解することができる。
聞き:教室や、身の回りなど、日常生活の中でもよく出会う場面で、ゆっくり話される短い会話であれば、必要な情報を聞き取ることができる。
N4:基本的な日本語を理解することができる
読み:基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活の中でも身近な話題の文章を、読んで理解することができる。
聞き:日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる。
N3:日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる
読み:・日常的な話題について書かれた具体的な内容を表す文章を、読んで理解することができる。
・新聞の見出しなどから、情報の概要をつかむことができる
・日常的な場面で目にする難易度がやや高い文章は、言い換え表現が与えられれば、要旨を理解することができる。
聞き:日常的な場面で、やや自然に近いスピードのまとまりのある会話を聞いて、話の具体的な内容を登場人物の関係などとあわせてほぼ理解できる。
N2:日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる
読み:・幅広い話題について書かれた新聞や雑誌の記事・解説、平易な評論など、論旨が明快な文章を読んで文章の内容を理解することができる。
・一般的な話題に関する読み物を読んで、話の流れや表現意図を理解することができる
聞き:・日常的な場面に加えて幅広い場面で、自然に近いスピードの、まとまりのある会話やニュースを聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係を理解したり、要旨を把握したりすることができる。
N1:幅広い場面で使われる日本語を理解することができる
読み:・幅広い話題について書かれた新聞の論説、評論など、論理的にやや複雑な文章や抽象度の高い文章などを読んで、文章の構成や内容を理解することができる。
・さまざまな話題の内容に深みのある読み物を読んで、話の流れや詳細な表現意図を理解することができる。
聞き:・幅広い場面において自然なスピードの、まとまりのある会話やニュース、講義を聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係や内容の論理構成などを詳細に理解したり、要旨を把握したりすることができる。
参考:日本語能力試験(JLPT)公式サイト https://www.jlpt.jp/about/levelsummary.html

各レベルの外国人と接してみての感覚

私の個人的な感覚になりますが、実際に各レベルの外国人と接した印象をお話します。

●N5:
簡単な単語はわかってもらえることが多いが、会話による意思疎通はほとんどできない。
相手の母国語や他の言語によるサポートは必須である。

●N4:
日常会話であればゆっくり話すことでやり取りできるため、本人が生活していく分にはあまり困らない。
母国ないしは日本である程度日本語を勉強してきた人が多く、日本人同士で話をしているのをそばで聞き、何のトピックについて話しているのかある程度当たりをつけることができる。
だが、ビジネス的なやり取りを日本語で行うのは難しいため、この場合は、翻訳サイト等を使いながら文章でやり取りする方が間違いない。

●N3:
日常会話であれば問題なくやり取りができるが、少し難しい話題については配慮が必要。
外国人をビジネスで雇用する場合、日本語でのやり取りを前提とするならこのレベル以上はほぼ必須となる。
コンビニ店員として働く外国人が昨今増えているが、彼らはこの辺りのレベルにいることが多い。

●N2:
かなり日本語できるな、という印象。ビジネスでのやり取りについてもほぼ問題ない。
時々日本人ならわかる言い回しが伝わらなかったりする(特に、ことわざや四字熟語など)が、きちんと意味を伝えれば理解してくれる。

●N1:
すごい。ただその一言に尽きる。日本人でも難しい試験を突破しているため、ほぼ日本人と思って間違いない。

なお、聞くことや読むことはできても、書くことについてはハードルがかなり上がるため、この限りではありません。
たとえば漢字はほぼ無限に種類があるため、日本人を両親に持つ外国人でも、ひらがなでないと書けないなどのケースがあります。
パソコン仕事が多くなった現在、紙に何かを書いてもらうことはあまりないかもしれませんが、もしそういったケースが生じる場合は、日本人によるフォローが必要になる可能性が高いです。

②どのようなレベルの方が、どのような会社様とマッチングするか

ご自身の会社がどのようなポジションで外国人を採用しようとしているか、その外国人を取り巻く職場環境がどんなものかによって大きく変わるでしょう。
各日本語レベルに応じた採用ケースを想定してみましたので、ご参考にしてください。

N5~N4で問題ない場合

・他のスタッフが、その外国人との共通言語でサポートできる。
 現在では翻訳サイト等の機能もずいぶんと向上しましたので、サポート側の共通言語のレベルについては、日常会話~ビジネスレベルぐらいがあれば問題ないかと思います。

・そもそもコミュニケーション(社内社外ともに)があまり必要ない職種である

N3が必要な場合

・社内コミュニケーションが必要であるが、社外とやり取りする機会はあまりない
・複雑なやり取りがあまり必要ない接客業である(衣服販売、レストラン店員など)

N2以上が必要な場合

・その外国人と日本人顧客が、直接ビジネス的なやり取りをする機会がある

もちろん日本語レベルが高いに越したことはありませんが、必要以上に水準を高くする必要はありません。他の条件を満たすより良い外国人と出会える可能性もありますので、ミスマッチを防ぐためにも、適当なレベルを判断することが重要です。

本記事がご覧の皆様の参考になるよう願っています。